豊平川

めちゃくちゃ好きなバンドがいた。いた、というのはもう解散してしまったからなんだけど。

眠れなくて行ったことのある土地にあーまた行きたいなーと思いを馳せていたら北海道のこと思い出して、そしたらひかさのことを考えていた。最終少女ひかさ。わたしが世界一好きだった、北海道出身のバンド。

いまだに豊平川のイントロ聴くと泣きそうになる、ってツイッターで言ったけどちょっと違くて、イントロを思い浮かべるだけで泣きそうになるんだって気づいた。あの頃何回も聴いて、ライブでも豊平川が聴けるとめちゃくちゃうれしくて、聴くたびに泣いてた。あの頃の感動が今も鮮明に思い出せる。なんでかわかんないけどたしか、あの曲を初めて聴いたときから泣いてた。それくらい衝撃的に出会ったし、本当に好きだった。

懐かしくなってYouTubeで検索したら、昔のライブ映像、しかも行ってたライブのやつを発見して、やってる曲名とか書いてないから「なんの曲の映像かな?」と思って再生してみたらマナーモードだったから音出なくて、でも最初の但野さんがギター弾いてる映像だけでなんの曲かわかってびっくりした。この曲を聴いて、この曲が好きで、北海道まで彼らのライブを観に行こうと思ったことをすぐに思い出した。待つばっかりじゃなくて、自分から会いに行こうって。

北海道、東京、名古屋、大阪、京都、いろんなところに彼らのライブを見に行った。北海道や名古屋は行くことすら初めてでめちゃくちゃ緊張した。岡山に来てくれたこともあった。懐かしい。本当に懐かしいな。

あの頃もらった言葉とか時間は、本当に忘れられない。なんでかわかんないけど、ものすごく大切な記憶に感じるし、今も自分の時間に息づいているのがわかる。

バンドが解散してもこんなに好きなままなことあるんだなって今まで思ったことなかった。解散したら終わり、そう思ってた。今もそういうところはあるけど、当時はなにかが終わるのがとにかく死ぬほど苦手だった。だからバンドの解散が発表されたときはショックすぎて受け入れられなくて、最後の方は彼らの活動に目を背けたことを未だに後悔している。最後のライブも行けなかったし、最後のアルバムの曲がちゃんと聴けるようになったのは解散から一年以上経ってからだった。

未だに解散は悲しいけど、未だに大好きなことも変わらない。

北海道に行きたいな。北海道が好きだな。あのとき行きそびれたお寿司屋さんとか、夜の豊平川とか、泊まったゲストハウスにいた優しいスタッフさんとか、ライブのあとのラーメンとか、色んなことを思い出す。

最後のお別れをちゃんと言えなかった引目があるせいか、彼らの新しいバンドのライブはまだどれも、一度も見に行けてない。

いつか見る日が来るのか、来ないのか。

来たらいいけど、今はそれもわからない。

頭に浮かぶ、豊平川で歌う彼の姿を思い浮かべながら眠る。そんな夜が何回あっただろう。そして今日もそんな夜だ。おやすみなさい。