お芝居でいいから

何も期待することがないのはとても楽だけどとても何もない。期待を諦めると好きじゃなくなってしまう。
新しい恋を見つけるのは簡単すぎてびっくりする。ああ会いたいな、って思ってるうちは楽しい。好きとか愛してるとか言うだけの恋人よりずっと楽しい。期待ばかりしていられるから。この人には何を望んでも無駄だ、と一度思ってしまうとやっぱり修復は難しい。こんなこと考えてるせいか昼寝してたら歯食いしばりすぎて歯めっちゃ痛い。
気持ちはないけど浮気しましたっていうのと、何もしてないけど気持ちが動いてしまっているのどっちが悪いのかなって考えたけどどっちもクソだよね。どうこうするつもりじゃなくてもあーこの人好きだなーって気持ちは最高に楽しくて“朝も昼も夜も切なさに酔って胸痛めてる自分もいい”状態になっている。コロナ禍で最強な恋愛は近距離恋愛や同棲カップルじゃなくて片思いなんじゃないかと思ってしまうくらい楽しい。会えなくてもそもそも会える関係じゃないから気にしなくてもいい。好きという気持ちを好きなだけこねくり回して遊んでいられる。そこに人を愛するが故の苦痛はまだない。
好きだから一緒にいるためには許さなければならないのか、許せるのか、許したら幸せでいられるのか。そんなこと考えてる時点で終わってる、と自分では思う。でもそれでいいのか自信が持てない。
だから悲しい気持ちに蓋をして恋をする。どうせ何も変わらないと思っているから、安心して全ての気持ちを保留にしよう。何もしない、出来ないまま、美しい恋を胸に飼っていることだけが今の楽しみ。