忙しすぎておとといにあれ!?と思い出したのが友達の一周忌であった。連日の二日酔いや試験のバタバタで、そろそろだよなと思っていたのに急にすっかり忘れてしまっていた。しかも確認したら一ヶ月間違えて覚えていた。あの日はもっと寒かったような記憶があるんだけど、9月の下旬入ったばっかりってけっこう暑いよな。なんでそんなの間違えたんだろう。葬儀場の日陰で友達たちがたばこを吸うのを見ていた。

なくなってしまった肉体にいまだ現実感はないまま、たまにカメラロールで出会う彼の笑顔はなんにも変わっちゃいない。高校生のとき、いつも通りバンドメンバーで集まっているときにUFOキャッチャーでとったであろうウサギのマスコットを彼が学生カバンにつけていて、「それめちゃかわいい!どこにあったの?」と聞いたら「どこだったっけ?よくわかんないけどれいちゃんにあげるよー」とさらりとくれてしまった。いまだにあのウサギのキャラクター好きなんだけど、あのときもらったちいちゃいぬいぐるみはどこかにしまっていると思ってたら見つからなくて、なんかそんな感じ。骨になった彼もちゃんと見たはずなのに、いつまで経っても、どこにいったのかなって。最近なにしてるの?と聞いた近況のなかの彼のままいる。

時間が止まってしまわないように、きちんと理解できるように、また会いに行かなきゃいけないんだけどいつ行こうかな。キリが悪いから誕生日に行ったら遅いって言うかな。みんなで誕生日お祝いしたような気がするんだけど、どうだったかな。進学のために勉強するからといってバンドをやめた後もフラリとライブ見に来てくれたりして、彼のそういうゆるっとした優しさが好きだった。

同窓会をしたときに5年ぶりとかに会って、久しぶりに元バンドメンバーもみんな集まってすごく楽しくて、酔っ払ってしまった彼をみんなで家に送っていたら急に「おれ高校生のころれいちゃんのこと好きだったんよなあ〜〜」とニコニコしながら言われてものすごくドキドキしたな。素直にうれしかったけどなんか恥ずかしくてハイハイありがと〜と雑なふりで流して家に帰したのをよく覚えている。あのとき隣にいた彼の温もりはどこにいってしまったんだろう。今もまだあったとしても、私たちのあいだにはおそらく何も生まれないんだけど、あの日の感触はまだ残っている。たまに刺さる。

愛すべきタイミングなんて無限に転がっているし、今の自分が必要だと思ったら迷わず愛していくしかない。もう触ることのかなわない肉体はやっぱり悲しい。思い出さないようにしてただけなんかなって。大丈夫かなって思ってたけど。

なんとなく今の気分。
いつかあたしの名前を呼んでね。